開発が続く、住宅地・・井吹台公園を挟んで、その山間にひっそりと佇む・・・如意寺
…大化元年(645年)、法道仙人により建立されたと伝える、古刹です
山門・・・伽藍からけっこう、離れていて、往時の広さが想像できますね!
造金剛力士(仁王)像 - 鎌倉時代・・・県指定有形文化財
如意寺は、今から千年ほど前、願西上人によって開かれたとされる天台宗の古刹で、地蔵菩薩を本尊としています。
12世紀頃の古文書に「地蔵堂に土地を寄進する」という記述があることから、その頃に寺観が整いつつあったようです
寺院所蔵の文書群には、中世から近世にかけて隆盛を誇った当時の姿が生き生きと示されています
そして、幸運なことにこのことは境内に残る三棟の中世建築によって今もはっきりと感じることができます
今は礎石のみを残す本堂を中心に西に阿弥陀堂、東に三重塔、南に文殊堂と建物を配置する方法は、近隣の太山寺とも共通し、天台宗独自のものとであると言われています
三重塔・・・
…阿弥陀堂と対面した高台に立つ三重塔は、軒の出が美しく純和様の建造物で、三層各階には、それぞれ大日・釈迦・多宝如来を安置して法華宗と密教思想の融合を表しています
南北朝時代、至徳二年(1385年)、本瓦葺、高さ21.33m
元和五年(1619)の修理の際に発見された龍車(塔上部の相輪の部材)の刻銘によって至徳二年(1385)に建てられたことが分かります
常行堂(阿弥陀堂)
常行堂は、常行三昧という天台宗の重要な修行のためのお堂で阿弥陀如来を本尊としています
応永十三年(1406)、寛文十二年(1672)に大きく改修されていますが、院政末期(12世紀末から13世紀はじめ)に 建てられた市内最古の建造物です
素朴で落ち着いた雰囲気をもつお堂の姿も見事ですが、内部の阿弥陀如来(市指定文化財)も建物と同じ時代に造られた 素晴らしいお像です
このように建物と仏像が造られた当時のまま伝わっていりことは、めずらしく、大変貴重な文化財です
文殊堂
…伽藍の南端の傾斜地に建てられた文殊堂は、懸造様の高床をもつ建造物です
建立年代は、様式手法からみて、応永十三年(1406)の罹災後と考えられ、巻斗の「癸酉」という墨書銘が示す1453年であるとする意見もあります
他の諸堂と同じく江戸時代に修理が加えられていますが、聖僧文殊を安置する内部の厨子とともに時代の特徴を良く示している建物です
如意寺には、この他にも鎌倉時代唯一の大型塑像として知られる仁王像(県指定有形文化財)なども伝えられ、この地域に独自の文化が存在したことを教えてくれます
・・部材の墨書から享徳二年(1453年)の建立と推定されている。傾斜地に建ち、前面を高床式とする点が特色である
本堂は老朽化により傾いたため第二次世界大戦後まもなく解体され、礎石をとどめるのみである
本堂跡より・・・
・・・本堂跡の東にある三重塔の前身を法華堂に想定し、これに加えて西の常行堂、南の文殊堂という配置を天台宗寺院でも早い時期の遺構ともある・・・
宝篋印塔
周辺にせまった開発とは別天地のような中世的な場に我々を誘ってくれる如意寺
このような魅力あふれる場を、次代へ守り伝えていくことが今を生きる我々に課せられた使命でしょう・・・平成24年3月 神戸市教育委員会
いや! 神戸の西新の賑わう街のすぐ側にありながら、この静寂感、空気感に建つ、国重要文化財の建造物は、見事という言葉しか出ませんね!
今は、春、桜もチラチラ咲く時、若葉が、緑色に包まれた折に、再度、訪れれば、また、違った姿を見せてくれると思います…
寺院として、久しぶりの、必見と言わしめる、比金山如意寺、天台宗の古刹でした・・・
追記:説明文は、神戸市教育委員会 案内板より引用いたしました
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